第14回:金利と債券|「安心」と決めつけず、役割を限定して持つ
【時間軸:短期(今日〜1年)/中期(1〜3年)/長期(3〜10年)】
本シリーズでは、読み手を「読者」、書き手を「筆者」と表記します。特定商品の推奨ではありません。生活(実質)と市場(名目)を混同せず、断定語を避け、条件文で整理します。
今回の結論(1文)
債券は“安全資産”と決めつけず、金利とインフレの状況に応じて「クッション役」に限定して持つ方が、判断が崩れにくい。
要点(なぜ重要か)
株式に比べて債券は「安定」「安心」と語られがちです。しかし行動編の目的は、安心を断定することではなく、混線を避けて崩れない設計を作ることでした。
特に足元は、各国で債務残高が増え、金利やインフレが揺れやすい局面です。こういう局面では、債券を「絶対に安心」と捉えるほど、判断が崩れやすくなります。
筆者の整理は次の通りです。
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債券は「元本が必ず戻る」といった断定の対象ではない
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ただし、資産設計の中で 役割を限定すれば 有効に働く場面はある
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リスクとは「元本がゼロになる」だけでなく、価格下落や購買力低下も含む
前提(扱わないこと)
この回では、次を扱いません。
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個別の債券銘柄や商品の推奨
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金利の当てもの(いつ利上げ/利下げか)
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「債券は不要/必須」といった断定
扱うのは、債券を資産配分に入れるなら「どう位置づけるか」です。
まず整理:債券のリスクは2種類ある
債券を理解しにくくしているのは、リスクの種類が混ざることです。ここでは2つに分けます。
1) 価格のリスク(評価額が下がる)
金利が上がる局面では、既存の債券価格が下がりやすい。
つまり「債券=値動きが小さい」とは限りません。
とくに、
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低金利から金利が上がる局面
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インフレ懸念がくすぶり、再利上げの可能性がある局面
では、債券価格の目減りリスクが意識されます。
2) 実質のリスク(購買力が削られる)
利回りがあっても、インフレがそれを上回ると、実質的には目減りし得ます。
このシリーズのテーマ(円の実質価値)とも直結する部分です。
「債券は安心」の誤解が起きる理由
債券は、償還まで持てば元本が戻るイメージが強い一方で、実際の運用では次が起きます。
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途中で売る可能性がある(生活イベント・資産配分調整)
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金利変動で評価額が動く
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インフレで実質価値が変わる
つまり、債券の“安心”は、条件が揃ったときに成立する性質であり、常に成立するとは限りません。
行動編としての結論:債券は「サブ」で、役割を限定する
読者のコメントにもあった通り、足元は米国も日本も債務残高が大きく、利払い負担の増加が意識される局面です。
さらに緩和的な環境が続く一方で、インフレ懸念がくすぶれば、再利上げの可能性も残ります。こうした環境では、債券に積極的になりにくい、という感覚は理解できます。
そこで行動編としては、債券を持つなら次の整理が分かりやすいです。
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**第3層(育てる)の中の“クッション役”**として置く
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主役(成長エンジン)にはしない
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生活防衛(第1層)と混ぜない
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「絶対に安心」とは見なさない
実装:債券を持つならチェックしたい3点(考え方)
具体商品には踏み込みませんが、考え方の点検項目としては次が重要です。
① 何のために持つか(役割)
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価格変動を抑えるためか
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リバランスの材料にするためか
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予定支出に備えるためか(第2層に近い目的)
役割が曖昧だと、「なんとなく安心」で持ってしまい、環境変化で迷いが増えます。
② どのくらいの期間で使うか(時間軸)
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近い将来に使うなら、第2層に近い
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長期で育てるなら、第3層のクッション
時間軸がずれると、途中売却が必要になり、金利上昇局面で不利になる可能性があります。
③ 何が起きたら不利か(条件)
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金利が上がりやすい局面(価格下落)
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インフレが粘る局面(実質目減り)
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信用不安が意識される局面(スプレッド拡大)
ここを「起こりうる」と理解しておくだけで、過度な安心視を避けられます。
反証(フェアネス):債券が有効に働く局面もある
金利が高水準で安定し、インフレが落ち着き、リスク資産が大きく揺れる局面では、債券がクッションとして機能する場合もあります。
ただしそれでも「万能の安心」ではなく、環境によって働き方が変わる資産だ、と整理しておく方がフェアです。
今回のまとめ(3点)
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債券は“安全資産”と決めつけず、価格リスクと実質リスクを分けて考える
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足元のように金利・インフレが揺れやすい局面では、債券はサブ(クッション)に限定する整理が分かりやすい
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役割/時間軸/不利になる条件を先に決めると、判断が崩れにくい
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