書評:『SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方』

1) どんな本か(結論)

この本は、先行きが読みにくい時代に「未来を当てに行く」のではなく、人間の“変わらない行動原理”を前提に、失敗しにくい人生戦略を組み立てるための一冊です。

投資・仕事・人生全般に共通するテーマとして、

  • 期待のコントロール

  • 物語(ナラティブ)に飲まれる危険

  • 複雑化が招く事故

  • 忍耐や希少性が価値を生む
    といった論点が、短い章立てでテンポよく整理されます。


2) 内容の要点(あらすじ/何が学べるか)

本書の中心はシンプルで、こう言い換えられます。

  • 未来は変わる。だが、人間の本性は大きく変わらない。

  • だから、予測の精度よりも「人が同じところで繰り返す失敗」を理解して、意思決定の設計を変える方が効く。

読みながら、「景気や相場」よりも一段深いところにある、
焦り・過信・同調・期待・恐怖といった“人間側の変数”が、結果を左右していることを再確認させられます。


3) 良かった点(本書の強み)

(1) 変化を追うほど増えるノイズを減らしてくれる
情報が多いほど判断は賢くなる、とは限りません。むしろ「刺激的な情報」ほど行動を歪めます。
本書は、判断を乱す要因を“人間の側”から点検できるのが良いところです。

(2) 投資本に見えて、実は「意思決定の本」
お金の話に限らず、キャリア、組織、家庭などにも横展開できる内容です。
「長期で勝つ」というより、**長期で“壊れない”**ことに焦点が当たっています。

(3) 複雑化へのブレーキになる
仕組みやルールを増やすほど安全になるようで、ストレス局面では脆くなる。
この“複雑化の罠”に自覚的になれるのは、忙しいビジネスパーソンほど効きます。


4) 気になった点(合わない可能性)

(1) “新しい手法”を探す人には物足りないかも
本書の価値は、最新トレンドより「普遍」。
テクニック集を期待すると、肩透かしになり得ます。

(2) 正しさよりも“納得”に寄る章もある
読みやすさの裏返しで、論文のような厳密さではありません。
ただ、ここは好みで、私は「行動に移せる形で残る」ことの方が実用的だと感じました。


5) こんな人におすすめ

  • 不確実性が高い中で、判断の軸を作りたい人

  • 投資・仕事・生活の意思決定が絡み合って、迷いが増えている人

  • 短期のニュースやSNSで、気持ちが揺れやすいと自覚がある人

  • 「当てに行く」より「外しても致命傷を避ける」設計に切り替えたい人

逆に、

  • すぐ使える投資手法だけが欲しい人

  • “結論の断定”が好きな人
    には、刺さりにくいかもしれません。


6) 口コミ・評価の傾向(要約)

読者の反応は、ざっくり次の2つに分かれやすい印象です。

評価されやすい点

  • 普遍テーマで、投資以外にも使える

  • 章が短く読みやすい/気づきが多い

  • 不確実な時代の「構え」を整えられる

好みが分かれやすい点

  • 新しいノウハウというより“再確認”が中心

  • 物語的に読ませる分、学術的な厳密さを期待すると違う

  • 人によっては『サイコロジー・オブ・マネー』と近い感触を持つ


7) 読後におすすめの使い方(小さな行動)

読後に一番効くのは、「感想」より設計の変更です。

  • 自分が判断を誤りやすい場面を1つ書く(焦り/同調/過信 など)

  • その場面で“やらないルール”を1つ決める(例:結論を急がない、追加購入しない、寝かせる)

  • 反対に、“ノーリグレット行動”を1つ決める(睡眠・現金余力・分散・習慣化など)

この本は、派手に人生を変えるというより、ブレを減らして長く走れる状態を作るタイプの良書だと思います。


8) まとめ(総評)

『SAME AS EVER』は、「変わる世界」に対して「変わらない人間」を基準に戦略を立て直す本です。
不確実な時代ほど、“当てる力”より“壊れない設計”が価値を持つ。
そう感じている人には、静かに効いてくる一冊です。

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