第13回:インフレへの備え|生活と投資を分けて考える
【時間軸:短期(今日〜1年)/中期(1〜3年)/長期(3〜10年)】
本シリーズでは、読み手を「読者」、書き手を「筆者」と表記します。特定商品の推奨ではありません。生活(実質)と市場(名目)を混同せず、断定語を避け、条件文で整理します。
今回の結論(1文)
インフレ対策は「投資で取り返す」より先に、生活の耐性を上げ、投資は長期ルールで淡々と続ける方が崩れにくい。
要点(なぜ重要か)
本編で扱った「円の実質価値」は、生活で体感するインフレ(購買力の低下)と密接に関係します。
ただしここで注意したいのは、インフレに直面したとき、人は次のように混線しやすい点です。
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生活の不安(実質)
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資産価格の上下(市場・名目)
この2つを混ぜると、「生活が苦しい→投資で挽回しよう→リスクを取りすぎる」という流れが起きやすい。
行動編の目的は“当てる”ではなく“崩れない”です。だから第13回は、インフレへの備えを 生活と投資を分けて整理します。
前提(扱わないこと)
この回では次を扱いません。
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インフレ率や相場の短期予想
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特定銘柄の推奨
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「この資産を持てばインフレに勝てる」といった断定
扱うのは、読者が実装しやすい 生活側の耐性 と 投資側の姿勢です。
まず整理:インフレの“困りごと”は3つに分かれる
インフレと言っても、困りごとは一種類ではありません。分けると対策が見えます。
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生活必需品が上がる(食費・光熱・日用品)
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固定費が上がる(住宅・保険・教育など、長期契約に影響)
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将来の計画がズレる(旅行、車、教育、老後)
この3つは、投資以前に「家計の設計」で効く部分があります。
生活側の対策:インフレに強い家計の作り方
① 必需品の“単価”を下げる(我慢ではなく仕組み)
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まとめ買い、定番化、買う店を固定
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使う量を“工夫で”減らす(我慢ではなく、習慣の変更)
ポイントは、努力ではなく仕組みに落とすことです。
② 固定費は“契約の見直し”で効きやすい
第8回の固定費点検と直結します。
固定費が軽いほど、物価が上がっても生活の耐性が残ります。
③ 予定支出は第2層で守る(混線させない)
第11回の3層モデルでいう第2層(備える)が効く場面です。
「数年以内に使うお金」を長期投資(第3層)に混ぜると、相場変動とインフレ不安が同時に来て判断が崩れやすい。
稼ぐ力の対策:インフレに最も強いのは“収入側”
インフレ環境で最も効きやすい対策は、実は投資より 稼ぐ力(第3回)です。
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昇給・評価・役割拡大
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スキル投資で生産性を上げる(第4回)
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副業は本業の支障がない範囲で(第5回)
物価に対して、収入が伸びる構造が作れると、インフレの影響は相対的に小さくなります。
投資側の対策:インフレを理由に“運用ルール”を崩さない
インフレを理由に、投資で一気に取り返そうとすると、判断が前倒しになりやすい(第2回)。
ここは第12回のルールが効きます。
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積立は原則継続
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例外は生活イベントだけ
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定期リバランス
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点検日固定
インフレは“長く続く可能性”があるため、短期の勝負に寄せるより、ルールで耐える方が崩れにくい。
よくある誤解:「インフレ=投資で勝たないと詰む」
インフレは確かに家計に効きます。ただし、投資で勝てないと詰む、という構図にしてしまうと、判断が荒れやすい。
行動編の文脈では、インフレ対策は次の順が自然です。
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固定費・惰性支出を整える(第6〜8回)
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第1層・第2層で生活の耐性を確保(第9〜11回)
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第3層を長期ルールで育てる(第12回)
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稼ぐ力を上げ続ける(第3〜5回)
この順番なら、相場が荒れても生活と投資が混線しにくい。
反証(フェアネス):インフレが急に強まる局面もある
急な物価上昇で家計が一時的に厳しくなることもあります。その場合は、投資側をいじるより先に、生活側を調整した方が整合が取りやすいです。
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まず固定費の点検
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次に惰性支出の圧縮
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どうしても必要なら積立額を一時的に調整(生活イベントとして扱う)
「相場が怖いから」ではなく、「生活の必須支出が増えたから」と理由を明確にすると、判断が崩れにくい。
今回のまとめ(3点)
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インフレ対策は、生活(実質)と市場(名目)を混ぜないのが重要
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生活側は固定費・第2層・稼ぐ力が効きやすい
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投資側はインフレを理由にルールを崩さず、長期で淡々と続ける方が崩れにくい
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