第11回:資産の設計図|3層で分けると迷いが減る

【時間軸:短期(今日〜1年)/中期(1〜3年)/長期(3〜10年)】

本シリーズでは、読み手を「読者」、書き手を「筆者」と表記します。特定商品の推奨ではありません。生活(実質)と市場(名目)を混同せず、断定語を避け、条件文で整理します。

今回の結論(1文)

資産は「何を買うか」より先に“役割”で分ける。3層(守る/備える/育てる)で整理すると、相場が荒れても判断がぶれにくい。


要点(なぜ重要か)

第9回で生活防衛資金(第1層)の重要性を整理し、第10回で「何で持つか(円・ドル・金)」を“用途”で整理しました。
ここまでで分かるのは、投資判断が崩れる原因の多くが 「生活と投資が混ざること」 だという点です。

円の実質価値が気になる局面ほど、情報は過熱し、感情も揺れます(第2回)。
そのときに効くのは、相場観ではなく 設計図 です。設計図があると、迷いが減り、極端な行動に進みにくくなります。


前提(扱わないこと)

この回では次を扱いません。

  • 個別銘柄・具体商品・口座の推奨

  • 「この比率が正解」という断定

  • 短期の相場予想

扱うのは、読者が自分の状況に合わせて調整できる “枠組み” です。


3層モデル:守る/備える/育てる

資産を3つの層に分けます。呼び方は人それぞれで構いませんが、目的が分かれていることが重要です。

第1層:守る(生活防衛)

  • 目的:生活を止めない/時間を稼ぐ

  • 優先:すぐ使える・減りにくい・管理が簡単

  • 位置づけ:投資の材料ではない(判断の自由度)

※第9回がこの層です。


第2層:備える(近い将来の支出・中期の安定)

  • 目的:数年以内の予定支出や、生活の変化への備え

  • 優先:大きく減りにくい/取り崩しやすい

  • 位置づけ:第1層ほど“硬く”なくてよいが、投機にも寄せない

この層があると、「近いうちに使うお金」と「長期で育てるお金」が混ざらなくなります。


第3層:育てる(長期の資産形成)

  • 目的:長期で育てる(10年単位で考える)

  • 優先:分散・継続・ルール

  • 位置づけ:価格変動は前提。生活費とは切り離す

相場が荒れる局面ほど、第3層は“握力”が試されます。握力を支えるのが第1層と第2層です。


3層で整理すると何が良いか(よくある迷いが消える)

3層に分けると、次の迷いが減ります。

  • 「下落した。生活費も不安。売るべき?」
    → 第1層が守れていれば、売る必要性が下がる

  • 「円が不安。全部外貨にした方がいい?」
    → 生活の支払い通貨(第1層)は用途優先。分散は第2・第3層で検討

  • 「金は防衛資金として持つべき?」
    → 金は第3層の分散パーツとして整理しやすい

設計図があると、判断が“その場の不安”ではなく“役割”に戻ります。


実装:第3層(育てる)を「役割」で分ける

第3層の中身も、銘柄ではなく役割で分けると迷いが減ります。

  • 成長エンジン:長期成長を狙う(例:株式)

  • 分散パーツ:偏りを薄める(例:金など)

  • クッション:変動を和らげる(例:債券等。ただし“安心”と断定しない)

ここで大事なのは「主役は何か」「サブは何か」を決めることです。
“全部大事”にすると、相場のたびに迷いやすくなります。


実装:読者向け「3層の作り方」最小ステップ

難しいことは不要です。次の順で決めると形になります。

ステップ1:第1層(守る)を決める

  • 必須支出×期間(第9回)

  • 置き方は用途優先(第10回)

ステップ2:第2層(備える)を決める

  • 1〜3年で使う予定があるか(教育、住居、車、転職準備など)

  • あるなら、その分は第3層と混ぜない

ステップ3:第3層(育てる)を決める

  • 成長エンジン(株など)を中心に

  • 分散パーツ(例:金)を“補助”に

  • クッション(例:債券)は役割を限定してサブに

比率はこの段階で細かく決めなくて構いません。まず「混ぜない」ことが優先です。


落とし穴:3層モデルでも崩れるケース

  • 層の資金を取り崩して投資を増やす(混線)

  • 第3層の値動きを第1層の問題として感じる(混線)

  • 目的を忘れて、流行に合わせて中身を入れ替える(第2回の構造)

層は、守るための仕切りです。仕切りを跨ぐと判断が揺れます。


反証(フェアネス):層の数は人によって変えてよい

家計が単純で、予定支出が少ない人は、第2層を薄くしても良いかもしれません。逆に、予定支出が多い人は、第2層を厚めにした方が安定する場合もあります。
重要なのは「数」より、「生活と長期投資を混ぜない」ことです。


今回のまとめ(3点)

  • 資産は“役割”で分けると迷いが減る。基本は3層(守る/備える/育てる)

  • 第1層・第2層があるほど、第3層を長期で持ちやすくなる

  • 第3層も「成長エンジン/分散パーツ/クッション」で役割分担すると崩れにくい

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