2025年の資産形成を検証し、2026年の「判断軸」をつくる 第6回(最終回)|「当てにいかない投資」の型を完成させる

第6回(最終回)|「当てにいかない投資」の型を完成させる

——2026年の運用を再現可能にする最終チェック

この回では、第1〜5回を1つの“運用の型”に統合します。
2026年の見通しを断定するのではなく、変数①〜⑥を使って「点検→判断→行動」を繰り返せる状態に仕上げます。


TL;DR(3行)

  • 2026年は「予想」より、判断プロセスを固定し、淡々と運用する力が効きやすい

  • 変数①〜⑥を週1回点検し、「A/B/C寄り」を決め、事前の行動ルールに従うだけでよい

  • 今日からやること:①週次テンプレを保存 ②上限(配分)と分割ルールを決める ③債券は年限で設計する


1. 今回の問い(何を判断したいのか)

連載を通して、私たちが本当に目指したのは「当てる」ことではありません。
目指したのは、次の状態です。

  • 相場が上がっても下がっても、判断がブレない

  • ニュースに反応して売買せず、必要なときだけ動ける

  • 2026年が終わっても、同じ型を翌年に持ち越せる

この最終回では、これを「型」として完成させます。


2. いま市場で起きていること(観測事実)

2025年の総括として、観測できることはシンプルです。

  • 資産クラス間・国別で差が大きかった(=環境への相性が効いた)

  • 金利とインフレが落ち着ききらず、テーマ(AI・資源・地政学)との絡みで差が拡大した

  • 円建ての体感は、為替(円安・円高)の影響で“見え方”が変わりやすかった

この“差”がある環境では、運用の巧拙は「予想」より「型」に出ます。


3. 構造整理(実体と市場を分ける)

3-1. 実体:ファンダメンタルズの因果(変数①〜⑤)

  • 変数① 資本コスト(=金利+流動性):資産価格の土台

  • 変数② インフレの粘着性:利下げ余地と実質金利

  • 変数③ 分断・供給制約(資源):国別・産業別の差を拡大

  • 変数④ AI期待:株式の上振れ要因/歪みの源

  • 変数⑤ 地政学:確率は読みにくいが、起きると影響が大きい

3-2. 市場:需給・ポジション・センチメント(変数⑥)

  • 変数⑥ ストレス(速度)

    • 信用(スプレッド)

    • 流動性(詰まり)

    • 為替急変(円建て体感の変化)

同じ実体でも、⑥が点灯すると動きは速くなる。ここが最大の注意点です。

3-3. ここが誤解ポイント(3つ)

  1. 1つの変数で決め打ちしない(特に金利だけで決めない)

  2. テーマ(AI・資源・地政学)は、①②⑥の状態に“従属する”

  3. ⑥が点灯したら、判断は複雑にしない(新規リスクは取らない)


4. シナリオ(ベース/上振れ/下振れ)を“運用に落とす”

第3回のシナリオは、最終回では「運用ルール」として再掲します。

シナリオA(ベース):レンジ+選別(確率:中/進行:じわじわ)

  • やること:配分の上限・下限を守る/分割で淡々と

  • やらないこと:単一テーマに寄せる

  • 重点:週次テンプレの継続(判断プロセスを固定)

シナリオB(上振れ):①②が改善(確率:低〜中/進行:速い可能性)

  • やること:リスク資産を“分割で”戻す

  • やらないこと:一括で大きく増やす

  • 重点:金利安定とインフレ沈静化の確度を確認してから動く

シナリオC(下振れ):②の再燃 or 国債需給悪化→⑥点灯(確率:中/進行:速い)

  • やること:新規リスクを取らず、上限超過の是正/流動性確保

  • やらないこと:下落直後にルール変更

  • 重点:⑥が点灯したら“シンプル運用”へ切り替える


5. 監視すべき指標(最終版チェックリスト:5〜10項目)

週次でこれだけ見れば十分、という形に圧縮します。

  1. 長期金利の方向(変数①):上昇再開なら警戒/安定なら安心材料

  2. 金融条件(流動性の詰まり)(変数①):詰まりやすい兆候が出たら警戒

  3. インフレの粘り(変数②):再燃シグナルならC寄り

  4. 期待インフレ(変数②):上振れなら警戒/落ち着けば安心

  5. 資源・エネルギーの急変(変数③):供給制約のサインとして監視

  6. AI関連の“市場の反応”(変数④):良いニュースで上がらない→過熱サイン

  7. 地政学の緊張度(変数⑤):輸送・資源・重要鉱物に波及するか

  8. クレジットスプレッド(変数⑥):拡大→ストレス点灯

  9. ボラティリティ(変数⑥):急上昇→速度が上がる

  10. USD/JPYの急変(変数⑥):円建て体感が変わる(ヘッジ判断の前提が揺れる)


6. 投資家・ビジネスパーソン向けの翻訳(やること/条件付き/やらないこと)

1) 今やる(ノーリグレット)

  • 週次テンプレを保存し、毎週同じ順番(①→⑥)で点検する

  • 配分の上限(増えすぎたら戻す)を決める

  • 分割ルール(2〜4回)を決める

  • 債券は年限で設計する(短期国債+中期〜10年程度中心、長期は慎重)

2) 条件が揃えばやる(トリガー条件)

  • ①が改善(長期金利が安定、流動性も詰まらない)

  • ②が改善(インフレ沈静化の確度が上がる)

  • ⑥が点灯していない(信用・為替の急変がない)
    リスク資産を分割で積み増す/REITや中期債を厚くする検討

3) 今はやらない(理由つき)

  • 単一テーマへの集中(資源だけ、AIだけ)
    → ①②⑥の状態に左右され、当てにいくほどブレる

  • “利回りが高い”だけで長期債・REITを厚くする
    → 変数①②が不安定な局面では、利回りは警戒サインでもある

  • 相場急変直後のルール変更
    → 平時に決め、有事は守る


7. 反証・注意点(自分の見立てが崩れる条件)

  • インフレが想定以上に沈静化し、金利も持続的に安定低下する
    → 長期債・REITの扱いを見直す余地

  • 財政懸念が後退し、国債需給が改善する
    → 長期金利の上振れリスクが低下

  • 信用不安が急拡大し、⑥が主役になる
    → リスク議論より、流動性確保が最優先になる


8. まとめ(3〜5文)

2025年は、資産クラスと国別で差が大きく出る一年でした。2026年も、変数①(資本コスト)と変数②(インフレ)を軸に、分断・AI・地政学が差を広げ、変数⑥(ストレス)が速度を決める展開が想定されます。だからこそ、予想に頼るより、週1回の点検と事前の行動ルールで“型”を持つことが実務的です。この連載が、あなたの投資判断を静かに安定させる土台になれば幸いです。


参考(一次・準一次ソース:引用なし)

  • 各国中央銀行・財務当局資料

  • IMF・国際機関レポート

  • ETF公式情報・市場データ

  • 主要金融メディア(一次発言)

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