第3回:【規律の哲学②】元本維持戦略の実現性。収入装置はいくら生み出すか?

📌 はじめに:目標を「心の安定」で逆算する

前回、私たちは**「年齢で戦略を変えない」という揺るぎない規律を確立しました。この規律を実践するための土台が、本連載の核心である「元本維持戦略(非取り崩し)」**です。

これは、リタイア後も資産の元本を一切取り崩さず、その運用益だけで生活費を賄い、生涯にわたって資産を維持するという究極の心の安定策です。

今回のテーマは、この戦略に基づき、あなたが具体的にいくら資産を築けば、リタイア後の「心の安定」が約束されるのか、その目標額を算出することです。


💰 第1章:生涯収入を得るための「目標額1億円」の根拠

まずは、リタイア後にあなたが確保したい**「年間収入」**を明確にします。ここでは、多くの人が「豊かで安定した生活」を送るための現実的な収入を、以下の通り設定します。

項目金額備考
リタイア後の年間生活費(目標)400万円ゆとりある老後生活費の目安(持ち家の場合を想定)
公的年金の年間受取額(推定)100万円夫婦合算で200万円程度から、個人の状況に応じて設定
不足する年間収入300万円資産運用で賄うべき目標額

次に、この**「年間300万円」**を元本を維持しながら生み出すために必要な資産額を算出します。

1. 運用目標リターン年率4.0%の設定

世界経済の成長率やインフレ率を考慮し、現実的で持続可能な目標リターンを年率4.0%(税引き前)と設定します。これは、国際分散されたポートフォリオで十分に狙える水準です。

2. 目標資産額の算出

この4.0%という運用益から年間300万円を得るために、必要な元本はいくらでしょうか?



3. 「バッファ」と「心の安定」を加味した目標額

計算上は7,500万円ですが、心の安定という哲学を最優先するため、さらに**25%の「心のバッファ」**を加えます。

  • 最終目標資産額:1億円

この1億円という数字は、あなたのポートフォリオを**「年間300万円を生み出すための、生涯維持可能な収入装置」**とするための、本連載における揺るぎない目標値となります。


🚀 第2章:非取り崩し戦略がもたらす究極の安心

「元本維持戦略」の真の価値は、その運用益がインフレと共に成長していく点にあります。

1. インフレに負けない資産寿命

年間4.0%のリターンを得て、そのうち3.0%(300万円)を生活費として引き出したとしても、残り1.0%は再投資されます。この1.0%が、将来のインフレによる資産の実質価値の目減りを打ち消すための**「インフレヘッジ」**として機能します。

2. 順序リスクからの解放

一般的な「4%ルール」(資産を取り崩す戦略)では、リタイア直後の暴落により、資産が尽きる**「順序リスク」**が常に付きまといます。

しかし、元本維持戦略では、暴落しても元本を売却する必要がないため、市場回復を待つことができ、順序リスクという精神的な重圧から完全に解放されます。これが、私たちが追求する**究極の「心の安定」**です。


🔚 まとめと次回の予告:規律の現実的なハードル

目標資産額は1億円と定まりました。これで、「何を目標にするか」という哲学的な土台が完成しました。次に必要なのは、この1億円を築くために、あなたが今日から具体的にどれだけの積立規律を必要とするかという現実的なハードルを明確にすることです。

【次回の予告】

次回、第4回では、資産運用の開始年齢を30歳に固定し、**60歳引退(30年運用)という条件で目標の1億円を達成するために、毎月いくらの積立が必要かを具体的に計算します。この現実的な数字が、続く第5回で解説する「引退時期延長戦略」**の重要性を浮き彫りにします。 

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